黒塗光悦盆・奥田志郎
「彫刻的な感じを残しつつ何かよい方法はないかと思っておりました時、京都の三角屋さんに剥ぎ板を見せていただきました。」
兄 野田行作が自分で彫ってつくりました光悦盆の写しを誰方かにお願いしようとしましたが、彫っていただく方がなく、この彫刻的な感じを残しつつ何かよい方法はないかと思っておりました時、京都の三角屋さんという工務店の方にこの剥ぎ板を見せていただきました。
剥ぎ板は木材を楔(くさび)で割って板にする方法で、樹齢が永く木目が細かくてよい木であればあるほど剥ぎ板が作りやすく、よいものが出来るのだと聞きました。曲げ輪っぱの材料や折箱など、少し前まではそれほど珍しいものではなかったのですが、今は殆んどその姿を消してしまいました。
三角屋さんは古い材木を使ったり、この様な特別な技術の必要な板などを自分の工場で作ったりして建物に活かしていらっしゃる稀有な工務店さんです。剥ぎ板をお願いして光悦盆の形に縁をつけていただき、奥田志郎さんに塗っていただき何とか雰囲気が出せたのではないかと思います。
八寸、口取用に、また菓子皿としても(生菓子と干菓子を一緒に乗せるなど)お使いいただけると思います。
工芸店ようび 店主 真木
野田行作氏が手彫にこだわった「光悦盆」が、三角屋さんの手により剥ぎ板で蘇りました。
時代を超えてのコラボレーション。
「剥ぎ板」はよく「接ぎ板」と間違われてしまいます。
一枚板は高級なので、何枚もの板を接いで一枚物に仕上げた板が「接ぎ板」。
一方、「剥ぎ板」は店主がしたためた通り、楔を入れて木を割って板にしたもの。
とても古い、シンプルに木を板にする「へぎ」の技術。
生まれた板は、自然体。
「剥ぎ板」の美しさを「光悦盆」から感じていただければ・・・。