白磁菱型輪花向付・小・藤塚光男
「おさまりのよい使いやすい一品です。」
九谷青窯から独立なさってすぐにようびの作家になって下さいました。それから三十六年、誠実なお人柄の彼は、使いやすく親しみやすい染付を中心に、いつも意欲的なよいものを作って下さいました。
三年程前に脳内出血を起こされて以来、今年で仕事をやめることを決意されており、とうとうその日が目前に来てしまいました。お仕事の量を減らされた後も、それでも何かとお願いしてきたのですが残念です。
修行なさった青窯さんという窯場集団は、九谷の作田という上絵付屋さんのオーナーが転身なさって、秦燿一さん(惜しくも一昨年故人となられました)というユニークな作家と共に始められ、若い人たちに自由で開かれた修行の場として、高桑さん、万作さん、桂木さん(ようびの初期の作家)、そして藤塚光男さん等々大勢の方々を育ててこられました。今も秦さんの御紹介の作家さんが三人いらっしゃいますが、藤塚さんがおやめになるのは寂しい限りです。
長い間藤塚さんの作品を愛していただいたお客様に、ようびからも厚く御礼を申上げます。
この度届きました白磁菱形輪花の向付は、ずい分以前に作られた形のものを今一度作っていただいた作品です。おさまりのよい使いやすい一品です。
工芸店ようび 店主 真木
藤塚光男さんから菱形の向付です。
縁の輪花がおおらかな風景を作り出しています。
盛ったのは芽ひじきの炊いたん。
今の季節なら枝豆が似合います。