少し入れても「サマ」になるよろしき椀・・・
この雪輪紋は五角形をしています。原形はきっと雪の結晶が六角形であることが解る以前のものではないかと思うのですが、能装束の長絹に付いていた文様です。数十年前に私が帯に織っていただき、それを蒔絵の文様にさせていただいたものです。大きな粒の金(梨子地粉)と少し大き目の丸粉を使っていただいて変化をつけています。椀の内側に付いているので浮遊している様に見え、雪舞を連想させます。雪の文様は冬はもちろん、つめたさを思い起こさせるものとして盛夏にも用いられます。
本体の大椀は奥田志郎さんのおなじみの形のものですが、椀というのはこれですという形状をしています。具をたくさん入れてたっぷりの煮物椀や雑煮椀にもなり、少し入れても「サマ」になるよろしき椀だと思っています。
工芸店ようび 店主 真木